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コンセプトと特許


以前、銀座でたまたま見かけた時計で、ちょっと気になったので調べてみた時計があります。
その時計には、「木目を形成した木製時計」という名称の特許がありました(特許第4927988号)。

これは、「本体を木質とした木製の時計において、該木製の時計は複数個を一組として構成し、木製の本体はその表面に木目を有し、そして一組と成る複数個の時計本体の表面に形成される木目は互いに連続した木目を形成し、個々の時計本体の表面には時を刻む針を設け、個々の時計本体の裏面に形成した凹部には該針を駆動する機器を取付けたことを特徴とする木目を形成した一組の木製時計。」というもので(上記特許の特許公報の請求項1を引用)、ごくごく簡単に言えば、複数の木製の時計を並べたときに、木目がつながるようになっているというものです。

上記特許公報の図1を下に引用します。
プレゼンテーション1

これだけだと「???」と思うかもしれません。なんで木製にしたのだろうとか、木目を連続させてどうなるのだろうとか。。。

しかし、この特許権者のホームページ(→HPはこちら。2018/8/31検索)を参照すると、この特許を「あたたかく」感じると思います。

この時計、「三連時計」という名称ですが、要するに、結婚式において、新郎新婦、新郎のご両親、そして新婦のご両親に贈られる時計で、3つをつなげると木目がつながり、いわば「木目で家族がつながる」ということを表した時計です。

上記ホームページを見たとき「なるほど!」と思うとともに、とてもいいコンセプトでしかもそのコンセプトがあたたかいな、と感じました。

こういったコンセプトと特許との融合の例(コンセプトを特許で支える例)は他にもいろいろあると思いますが、この木製時計はとても良い事例だと思います。

今知的財産事務所

本当に大したことない?

何気なく手にする商品にも特許の争いがあったりします。

スーパー等で青果物を買う場合、青果物が樹脂フィルムの袋で包まれていたりしますが、そのような袋にも鮮度を長く保持できるようにするなどの様々な工夫がされており、特許もあったりします。

例えば、特許第4779658号(発明の名称:青果物用包装袋)という特許があり、請求項1には「フィルムを含む包装袋であり、前記包装袋に1個以上の切れ込みがあり、切れ込み1個あたりの長さL(mm)/フィルムの厚みT(mm)の比(L/T)が16以上250以下であり、Tが0.01mm以上0.1mm以下であり、青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が0.08mm以上20mm以下であることを特徴とする青果物用包装袋。」と記載されています(上記特許の特許公報から引用。)。

この特許については、知財高裁の平成26年(行ケ)第10254号 審決取消請求事件という事件がありました。

事件の概要は、原告(上記特許が邪魔な人)が特許庁に無効審判を請求したところ、特許庁では無効にならなかったため、特許庁の審決の取り消しを求めて本件訴訟を提起しましたが、原告の請求が棄却されたというものです(いろいろと争点はありますが、例えば容易想到性について裁判所が「包装袋に設ける切れ込みの合計長を包装する青果物量に応じて好適化するという技術的思想については,記載も示唆もない」と指摘しているように、新たな観点を見つけるということがとても有効だということが分かります。)。

こんなところにも特許があるのかと思うかもしれませんが、無効審判が請求されているということはこの包装袋が「邪魔だ」と思う人がいたということです。

つまり、他社の特許があると自社のビジネスの障害になるからこそ無効審判が請求されているので、特許の影響が大きいことが分かります。

「これぐらい大したことはない」と自分が思うのもであっても第三者にとっては大きな障害になったりしますので、本当に知財の手当てをしなくてよいのかどうかは、一度、専門家に相談するといいと思います。

※(補足)上記特許が大したことがないということでは決してありません(この特許のような新たな観点を見つける、という点はとても優れています。)。例えば、青果物を袋で包むことは通常行うでしょう、と思ったとしても、良好な保存状態を保つために工夫することが、自分は大したことはない、ちょっとしたことにすぎないと思っていたとしても、実は大きなインパクトになることもある、ということです。

今知的財産事務所

技術がデザインの幅を広げる


マンションにおいて窓周辺や玄関周辺に様々な配管や水道メーター・ガスメーター等が設置されていたり、空調機の室外機が置かれていたりすることがあります。

こういった配管や機器が置かれていると、邪魔になることもありますし、美観を損なうこともあります。

そういった点を解決するコンセプトに基づく特許があります。

それが特許第5665105号(発明の名称:集中外部配管集合住宅)という特許です。

この特許は「給湯器等の設備機器の設置は、パイプシャフトを拡大することによってメータボックス等の設置空間を確保していたので、その分居住用空間が小さくなっていた。また、空調設備の室外機はベランダに設置されたり、ベランダの天井に吊り下げられており、利用空間を狭めたり、建築物の景観を損ねることになっていた。」「外廊下側居室の空調設備は外廊下に設置されたり、居室空間の一部に置場を設けており、利用空間を狭めたり、安全に影響を与えている現状もある。」という課題を解決するための特許です(上記特許の特許公報の段落【0003】参照。)。

この特許による美観がよくなった状況の概要を示す図は、住友不動産のHPに記載されています(→こちら。2018年8月29日検索)。

この技術を使うことで、美観を美しくすることもできるでしょうし、更に他のデザインを採用することも容易になるのではないでしょうか。

今回の例のように、技術とデザインとを別個独立に捉えるわけでも、技術のある面をデザインとして捉えるわけでもなく、技術によって建物のデザインの幅を広げることができるようにしたことは、まさに技術とデザインとを複合的に扱った結果だと思います。

更に、住友不動産(株)は、上記技術について「S-マルチコア」という商標も取得しています(商標登録5386593)。

つまり、技術、デザイン、ブランドの複合戦略をとっている、と言えそうですね。

見栄えの悪い従来の建物を見て、どうにかできないかを考えた結果、上記のような技術、デザインが出てきたと思います。「どうにかできないか」と課題を意識することでいろいろと発想が広がりそうですね。
今知的財産事務所

単純そうに見えても・・・


身の回りには本当にいろいろなところに特許があります。

非常に身近な製品だと思うのですが、食べ物などを入れる容器があります。これにも特許をとっているものがあります。

例えば、特許4473333号(発明の名称:蓋体及びこの蓋体を備える容器)という特許があります(以下の図は、この特許の特許公報の図10を引用しました)。
容器特許

このような蓋にも特許があったりします。

そして、この特許には争いも生じており、知財高裁の平成25年(ネ)第10097号 特許権侵害差止等請求控訴事件という事件がありました。

この事件は、まず、被告の製造・販売等している容器が上記特許権を侵害するものとして特許権者が差止めや損害賠償等を求めたところ、原審で特許権者の主張が認められたため、それを不服として被告(控訴人)が控訴した事件です。

この事件では、知財高裁において被控訴人の一部の請求が棄却されましたが、それでも控訴人(被告)は各種の容器の製造、販売、販売の申し出についての差止、容器等の廃棄や蓋体等の金型の廃棄や損害賠償の支払いも命じられてしまいました。

容器や食器等についてはデザインについて意匠権を取得することも多いと思いますが、この事件のように特許を活用することも十分にできます。

特に、意匠の類似の範囲は狭いこともあるので第三者の行為をとらえきれない場合があります。
しかし、もし機能面で捉えることができる部分があるのであれば、特許を考えることが有効な場合があります。

もちろん、意匠と特許の双方で多面的に活用することも有効ですが、機能面で考えることができるのであればデザインがどうであれ同一の機能を発揮するものも権利範囲に含めることができるので非常に有効です。

自分たちがつくっているモノ・コトの機能にどのようなものがあり、その機能を発揮させている仕組みはどうなっているかを考えると、特許の種が見つかるかもしれません。

今知的財産事務所

今後、特許が増える(かもしれない)分野の1つ


温水洗浄便器はすっかりデフォルトになった感がありますね。中には乾燥のために温風が出るものもありますが、きっちり乾かすにはやはり拭き取る必要がある気がします。

そんな特許も存在しています。

それが、特許5863081号、「臀部拭き取り装置」という発明の特許です。

この特許については大阪地裁で平成28年(ワ)第2818号 特許権侵害行為差止等請求事件という事件がありました。原告(特許権者)が被告の行為に対して差止請求、及び損害賠償を請求したのですが、技術的範囲に属することについては特に争われておらず、所定の臀部拭き取り装置及びそれを用いた温水洗浄便座を製造してはならないことが認められ、その他の請求(損害賠償等)は棄却されています。

この事件の被告は侵害対象物件について助成対象となっていたので保存義務が課せられていた一方で、侵害を逃れるためにその一部を取り外していました。

判決では「製造済みのロボット便座βを本件発明の技術的範囲に属しない状態にすることにより,展示等のおそれもないことをいわんとしているように考えられるが,上記状態では上記公法上の保存義務を果たしているといえないことは明らかであるから,むしろ,このことにより被告…には,関係官庁から保存義務を果たしていることの確認を求められた場合に,上記状態のロボット便座βに取り外した部品を取り付けるなどして製品として完成させるおそれが生じているものといわなければならず」と判断されました。

更に、「被告…が部品を取り外した状態のロボット便座βの部品を廃棄せずに所持していることも,そのような事態に備えていることを裏付けている…被告…が,上記保存義務を果たしていることをいうためにロボット便座β2台を再度完成させた場合,それは,その事業のためにするものとなるから,部品取り外し済みのロボット便座β2台を再度完成させるという限度で,被告…には,ロボット便座βを業として生産するおそれがあるといわなければならない…原告の被告らに対するロボット便座βの製造販売等の差止請求は,被告…に対する関係で製造の差止めを求める限度で理由があるということになるが…同被告の関係では,これより進んで完成したロボット便座βを使用,販売,又は販売の申出をするおそれは認められない」とされています。

助成金を受けるために果たさなければならない義務も考慮されている点、今後、助成金を受けることを検討している企業には参考になるかもしれませんね。

それはともかく、今回の特許は、従来品が「高齢者や体が不自由な者などにとって、完全に、水滴や汚れの拭き取り作業を容易にしていたとは言い難い」ことから、「便座に座ったままの状態で、すなわち、臀部と便座とが接したままの状態で、水滴や汚れを拭き取る」ことができるようにした発明です(上記特許の特許公報の段落【0015】から抜粋)。

今後、このような高齢者向け及び体が不自由な人向けの製品はますます増えていくと思うので、こういった分野でも特許に気を付ける必要が増えていきます。

特に助成金が絡んでくる場合、やはり、事前に特許調査することが重要ですし、助成金対象になる商品について特許を検討するということも重要になってきます。

弊所でもこういった分野に関連する特許を扱っているので、ちょっと身近に感じた特許でした。

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【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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