FC2ブログ

自らの「情報」を武器にする

 
スタートアップに限らず、中小・ベンチャー企業にとって「情報」は大きな武器になり得ます。

例えば、自分たちのビジネスモデルのアイデア、ビジネスモデルを支える各構成のアイデア、そして技術的アイデア等々の各種アイデアが「情報」になります。

その「情報」をうまく使えば、資産として取り扱うこともできますし、取引対象にすることもできます。更に、技術的アイデアであれば、技術移転の際に用いることもできます。

但し、単なる「情報」のままでは資産等として取り扱うことはできません。「情報」を資産等として取り扱える「カタチ」にしておく必要があります。

しかも、客観的に明確な(つまり、第三者が見ても理解できるような)カタチにしておく必要があります。そうしておかないと、資産としてどのようなモノを扱えばよいのか分からず、取引対象にしたくても、そもそもその取引の対象が不明確では取引にならないからです。

そのため、「情報」を文章や図面等できちんと表しておくことが必要です。

文章や図面等で表す、つまり「情報」を資産や取引対象として扱うために「ツール化」しておくことで、例えば、金融機関から融資を引き出す際の客観的な道具として使うこともできます。

この「ツール化」の際には、発明の対象なのか、デザインなのか、シンボルなのか、秘匿化すべき内容なのか、はたまた著作物なのか等を考えた上で適切にツールとして仕立て上げる必要があります。

スタートアップやベンチャー企業の場合、「これで攻めていこう」というビジネスアイデアを明確に持っていると思いますが、そのビジネスアイデアの中のどの部分がどのような種類の情報に該当し、どのようなツールになるのかまでを検討することが重要になってきます。

なるべく早い段階からどのような情報がツールになり得るのかを検討しておくことが、後々、事業を成長・発展させるための土台になります。

この点をまだあまり行っていない、というのであれば一度検討してみると、実は足元にお宝が転がっていた、ということに気が付くかもしれません。

今知的財産事務所

スタートアップと外部専門家

 
スタートアップ企業は、通常の企業より成長スピードが速く、社会に新たな価値を実装することを目指すという、他の形態の企業とはちょっと異なる特質を有しているところが多いと思います。

そして、スタートアップ企業の場合、これまでにないビジネスモデル(ビジネスシステム+収益モデル)を構築して事業を進めながら、ビジネスシステムと収益モデル(特に収益モデル)に修正を加えて走り続ける、という例が多いようです。

この場合、ビジネスモデルを構成するビジネスシステム及び収益モデルの双方、若しくはいずれかに、これまでになかったアイデアが盛り込まれていることが多いのですが、ここで知財面で適切な手を打っておかないと、ビジネスモデルが世に出た瞬間に他社に足元をすくわれる可能性が出てくるので、事業をうまく進められないことになってしまいかねません(特に、資金調達面)。

成長スピードが速いからこそ、走り始めてからじっくりと考える余裕はなく、走り始める前から考え始め、走り始めても走りながら考えて実行する、というスタンスが必要だと思います(言うは易し、行うは難し、ですが…)。

そして、事業戦略を支える知財戦略を考えた上で知財面でどのような手を打てばよいのか考える場合、自分たちだけではできない場合は外部専門家の助けを借りることが考えられますが、その場合に注意すべき点があります。

それは、その外部専門家に事業の全体を理解してもらうことです。

当たり前ではないかと思うかもしれませんが、案外、そうではない例が見受けられます。

例えば外部専門家が弁理士の場合、その弁理士が事業の全体をキッチリと理解し、適切な戦略に則って動いているかどうかを確認する必要があります。

もしその弁理士がきちんと理解していないとどうなるでしょうか。

仮に特許出願することになったとしても、弁理士の専権業務は権利化なので、権利化しやすい方向に思考が偏ってしまうかもしれません(ついつい偏る専門家の罠、ですね。)。

そうすると、本来、権利範囲が広く、コンセプトレベルの使い勝手の良い権利取得が可能であったにもかかわらず、無駄な限定を加えて徒に権利範囲が狭い内容で特許出願してしまったり、本来記載すべきでない内容を記載して特許出願してしまったり、明後日の方向の権利化を目指す内容になったりしてしまいかねません。つまり、意味のない権利を取得する方向にリソースが費やされてしまう可能性があります。

したがって、知財戦略に詳しく、事業全体を理解できる弁理士と「協働」する必要があります。「協働」といったのは、弁理士も一つのプロジェクトのメンバーとして、という意識で携わった方が、より真剣に対応すると思うからであり、弁理士に丸投げであってはいけないと思うからです。

スタートアップ企業に限らずマンパワーに限りがある中小・ベンチャー企業においては、ついつい弁理士など外部専門家に丸投げしてしまうことがあります。初めのうちは仕方がないかもしれませんが、なるべく、どのようなことを考え、どうしてそのような手を打ったのか?という観点から、弁理士等の外部専門家の仕事に一緒に携わってほしいと思います。

その場合に、弁理士等の外部専門家にどんどん疑問に思ったことをぶつけてください。それに対し、なるべく素早く、親切に分かりやすく回答する専門家であれば「協働」する意味のある専門家である1つの判断材料になると思います。

そして、そうすることで、徐々にではありますが、専門家レベルとはいかないまでも専門家と普通にディスカッションできるようになります。その結果、その企業の知財基礎体力が向上し、知財をうまく事業に活用できるレベルが上がっていくと思います(弁理士としては、その企業における仕事がどんどん減っていくことになりますが、まぁ、他の企業をクライアントにしていけばいいだけの話ではあります。一番重要なのは、その企業の市場におけるプレゼンスが向上する、ということなので。)。

弊所でも、社会にとって有益な新たな価値を実装しようと構想しているお客様をサポートしていきたいと思います。

今知的財産事務所

中小ベンチャー向け特許の手数料軽減措置


ようやく平成30年7月9日から、特許の審査請求料やPCTの調査手数料等の軽減措置が受けられるようになりました。いわば、復活ですね(特許庁のHPはこちら。2018年7月10日検索。)。

以前、旧法においても軽減措置がありましたが平成30年3月末で終わってしまい、しばらく軽減措置が受けられない状態が続いていました。審査請求料やPCTの調査手数料等で軽減措置が受けられる、という点は中小ベンチャー企業にとって大きなメリットです。

ただ、旧法の軽減措置がいったんなくなり、今回復活するまでの間にPCT出願しなければならなかった案件もあり、その点はかなり残念ですが。。。

軽減措置は、国内特許出願に関しては「審査請求料」及び「特許料」について受けることができ、PCT出願(日本語でされたもののみ)に関しては「調査手数料・送付手数料・予備審査手数料」について受けることができます。

審査請求料の軽減措置は平成30年7月9日以降に出願審査請求する案件が対象になり、特許料の軽減措置は、平成26年4月1日以降に出願審査請求された案件が対象となります。

また、PCT出願の「調査手数料・送付手数料」については、平成30年7月9日以降に特許庁が受理するPCT出願が対象になります。

一方、PCT出願の「予備審査手数料」についても平成30年7月9日以降に特許庁が受理するPCT出願が対象になりますが、平成26年4月1日~平成30年3月31日までに特許庁が受理したPCT出願も対象になります。更に、「予備審査請求」については平成30年4月1日~7月8日までに特許庁が受理したPCT出願についても7月9日以降に予備審査請求をする際には対象になります。

仕方がないのですが、「空白期間」に手続した案件についても、手当てしてほしかったですね。。。

今知的財産事務所

きっちり耕し、維持しておく

 
様々な企業を見ていると、特許出願をそれほどしていなくても、「知的財産の蓄積」がある企業はいまあるビジネスだけでなく、変化しつつあるビジネス環境においても強い、という傾向があるように思えます。

「知的財産の蓄積」とは、技術アイデアについて特許権を取得したり、ネーミングについて商標権を取得するだけではなく、特許出願等により知的財産権を取得していなくても、ノウハウであったり、出願はしないまでも自社の人間が使えるようにするためにアイデアを文章化・図式化したものを社内に蓄えていく、ということです。

この様に蓄積しておくことで、いざ必要になったときにすぐに使えるツールとして知的財産を用いることができます。

ツール化しておけば、例えば、ある事業において何らかの課題が生じたときに、そのツールをすぐに使えるかもしれません(少なくとも、使えるかどうかすぐに検証できるでしょう。)。

また、例えば、SDGsにおいては、バリューチェーンの各段階においてSDGsのマッピングをすることが提案されています(例えば、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「SDG Compass 日本語版」参照。2018年6月24日検索。)

「バリューチェーンで様々な課題の抽出&SDGsの目標との合致」というところを見つければ、将来的に大きくなり得る市場で自社のプレゼンスを確保できるチャンスがあります。

ここで、知的財産権や知的財産を蓄積するにはそれなりのコストがかかり、また、かけたコストから得られるリターンはかなり先の話になります。そのため、目先のコストがどうしても気になって、知的財産を蓄積することをおろそかにしてしまうかもしれません。

しかし、目先のコストを気にして知的財産を蓄積しておかないと、同業他社に先を越される場合があったり、事業上のチャンスを見つけたとしても、そのチャンスを活かすためのツール(知財)がないとチャンスを最大限、活用できないことになります。

単に知財費用を抑えることを優先し、知財の蓄積を怠ったり、アイデアの見える化をせずにアイデアを放置したりすれば、時間の経過によってリスクが一気に押し寄せる可能性が高まってしまう、ということに気を付けなければなりません。

言ってみれば、おいしい作物を実らせるには、しっかりと土を耕すのと同様、知財もしっかりとその土台に投資をし、維持しておく必要がある、ということです。

やせた土地からおいしい作物は実らないので、その「土地を耕す」際には、知財の知識、知財と経営との関係性等を理解したうえで耕し、耕した状態を維持する必要があります。

今知的財産事務所

知的財産の効果

 
知的財産って、どう役に立つのか?
知的財産が重要といっても、やはりこの点に納得のいくことがなければ足を踏み出すことはなかなかできません。

例えば、特許権を取得した場合の効果には様々なものがあります。
ただし、特許権を取得しただけでは権利がある状態というだけで、実際は、ビジネスにどう活用するのかを考えて使うことで初めて「効果」が出てきます。

特許権に限らず、知的財産の一般的な使い方としては私の以下のコラムをご参照ください。
日経喝力コラム:「第3回 社外に対する知的財産の様々な効能~「権利」の効果的な使い方~
日経喝力コラム:「第4回 社内に対する知的財産の様々な効能~「権利行使」だけではない!知的財産の得する効果~

上記コラムに記載したこと以外に何か効果はないか?というと、特にベンチャー企業や中小企業にとって重要な効果があります。

それは、株価に影響する(良くも悪くも)、ということです。

例えば、「ベンチャー 株価 特許」というキーワードでニュース検索すると、特許権を取得したことで株価に大きな影響を与えるニュースがいろいろと出てきます。

「世の中に今までなかった技術を特許権に仕立て上げ、ある企業が持ちました。そして、これからその技術を活用していきます」ということなので、経営資源に限りあるベンチャーや中小企業にとっては株価を押し上げる1つの要素になり得ます。

ただ、特許を1件取得しました、として一時的に株価が上がったとしても、応用技術について継続的に特許を出していかなければ、徐々に株価に与える特許の影響は薄れてしまう場合がある点には注意が必要だと思います(医薬品など、1件の特許で市場を実質的に独占できるような場合は、1件の特許だけでも株価に良い影響を与え続ける場合もあります。)。

例えば、ある1つの発明についてPCT出願後に日本や米国に移行してそこで特許権を取得し、その後に同一発明について欧州等の他国に移行して特許を取得したとしても、基本的には同一発明についての特許なので、株価は必ずしも上がらない場合があります。

技術は継続的に進歩していくものなので、開発した技術をコツコツと見える化し、事業戦略上、権利化が必要なものについては権利化して蓄積していく、ということが特に規模の小さい企業にとっては大切なことではと思います。

今知的財産事務所
カレンダー
07 | 2018/08 | 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
プロフィール

【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

今知的財産事務所

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR