「知的財産」の必要性

 
「知的財産」の必要性が分からない、という話を聞くことがあります。

分からない原因の一つは、「知的財産」と聞いて、即、「特許権」や「商標権」という知的財産「権」に結びつけるからではないでしょうか。つまり、特許や商標にとらわれすぎているのです。

そもそも企業においては、従来の商品・サービスを改良するための「アイデア」や、市場に投入する新たな商品・サービスの「アイデア」、逆に新たな市場を創るための「アイデア」を考えます。

このようなものを世の中に出したいとか、新たな価値を世の中に提供するために商品・サービスにこのような改良を加えたいという「アイデア」こそ「知的財産」なのです。

もちろん「アイデア」を「見える化」し、客観的に使えるようにする必要があります。

そのようなアイデアは様々な要素から構成されており、その要素の中には、事業をうまく回していくために特許や商標等の知的財産権に仕立て上げた方が良いものも含まれています。

ところで、なぜそのようなアイデアを出すのでしょうか。

それは、世の中に価値を提供し続け、事業(若しくは企業自体)を継続していくためです。何もせずに価値提供をし続けていくことは、まず無理でしょう。

よって、「知的財産の必要性」は、「ビジネスを続けていくため」と言えます。

皆さんは40代の生き方を考えたことがあるでしょうか。40代でしっかり生きてスキルを磨き、経験から得られた成果を蓄積していかないと、50代の未来は来ません。50代にしっかりした生き方をしないと60代は来ません。

これと同様に、企業等の組織体にとっては、このような「知的財産」を継続して蓄積し、事業戦略との関連で必要な部分を権利化して蓄積していかないと、段階を踏んで成長・発展していくことができなくなります。

権利化(あるいは、ノウハウとしての管理等)がなぜ必要かというと、参入障壁を築くとか、標準に組み入れるとか、事業上のリスクを最小化し、機会を最大化する点から色々と理由はありますが、簡単に言えば、事業・ビジネスで使える「ツール」として手元に置いておくためでもあります。

「ツール」を武器として使うか防具として使うか等、様々な使い方がありますが、自分たちのビジネスに活かし、自分たちの事業を継続するために使うには、適切なコントロールができる状態にしておく必要があります。

そのため、「知的財産権」や「ノウハウ管理」等の話が出てくるのです。

というわけで、事業を継続・存続させるためには「知的財産」は非常に重要であり、「知的財産権」は「ツール」として重要である、と言えると思います。

今知的財産事務所

早い段階でコンセプト創造を。


新たなビジネスモデルや何らかの技術を用いて新たな価値を市場に提供する企業(スタートアップ企業等)の人々が、創業時に「ああしておけばよかった」と思うことの中に「特許等の知的財産権を取得しておくべきだった」というものや、特許は出願したけれども「権利範囲を工夫して強い特許を取っておくべきだった」、「競合の知財について調べておけばよかった」というものがあります(参考URLはコチラ。2018/4/2検索。)

「強い特許を取っておくべきだった」と後悔する原因は、おそらく、目の前の対象にだけ注意が向きすぎ、その周辺まで検討することが疎かになっていたからではないかと思います。

というのも、このように後悔してしまうのは、ビジョンに基づいて適切なコンセプトを創造していないか、コンセプトを創っていたとしても以下の点が適切でないことが多いからです。

まず、そのコンセプトが実はあいまい・抽象的で具体像がぼやけていたりすると適切ではありません。。

また、あまりにも現在に近いこと(誰もが簡単にすぐ実現できる)であったり、あまりにも遠い未来のこと(どう考えても現状では実現できない)であったりしても適切ではなく、更に、そのコンセプトの実現により、どのような価値が世の中に実装され、どのような魅力があるのか(ターゲット顧客が「ぜひ体験したい!」と思うのか?)が明確でないと、適切とは言えません。

弊所でも時々、新たな技術でこれから市場に打って出るという方からの相談を受けることがあります。

その際に、事業戦略があるか否かももちろん重要ですが、コンセプトがしっかりと練られているかどうかを確認することがあります(場合によっては、お客様と共にコンセプト創造をしたりします。)。

適切なコンセプトであれば、そのコンセプトを土台にして事業戦略上、どのような知財に仕立て上げれば有効であるかを検討し、どの部分を権利化し、どの部分をノウハウとして秘匿化するのか、そしてどう利活用するのか等をしっかりと検討して進めて行くことができます。

一方、コンセプトが適切でない場合は、そのようなことはできません。適切でないコンセプトを土台にしては、意味のある知的財産を創り上げることも、事業戦略に役立たせることもできないからです。

したがって、適切なコンセプトを創るステップを「なるべく早い段階」で実行することが重要になります。

今知的財産事務所

発送書類の受取

 
今回はマニアックな話です。

特許や商標の出願はインターネットを通じ、基本的に365日24時間いつでもできます。

一方で、特許庁からの発送書類は原則として、特許庁開庁日の9時~22時の間に取得できます。

そして、インターネット出願ソフトを使用している人なら(のみ?)分かるのではないかなと思うのですが、「発送書類の受取」を確認するとき、私はいまだに結構緊張します。

特に、拒絶理由に応答した案件が特許庁に係属中で、そろそろ結果が来る頃だなぁ~というときに「発送書類の受取」をクリックし、特許庁のサーバと通信して発送書類が「〇件あります」と表示されたときがもっともドキドキしますね。

特許査定なのか拒絶査定なのか、はたまた、また拒絶理由なのか…

そういったときにPCT出願を日本へ移行した案件の出願番号通知だったりすると、ちょっと肩透かしだったり…

もう少し発送書類の受取の時に緊張しないようなやり方ってないものでしょうかね。。。

とはいえ、特許査定や登録査定の文字が目に飛び込んできたときは、とてもホッとします。

今知的財産事務所

利用したい立場からも権利が重要

皆さんが土地を持っているとします。その土地に家を建てて自分で住んでいたり、駐車場にして利用するのであればまだしも、土地を持っているだけで自分では特に利用する予定がないという場合、どうするでしょうか?

誰か他の人に貸す、ということを考える場合があると思います。

知的財産権も同様に、自分で使わなくても第三者に貸す、つまり、ライセンスすることができます。

ここで「知的財産権」と記載しました。特許権や意匠権、商標権等のことです。

きちんと権利として確立していれば権利者としてもライセンスしやすく、ライセンスを受けたい側も権利としてキッチリしているのが分かれば、どのような権利内容であるかをきちんと把握できます。

困るのが権利として確立していないアイデアや、権利をとっていなかった商品等です。

アイデア自体も知的財産に該当し得ますが、それが権利の形として確保できるかどうかは別物です。しかも、そのアイデアを何らかの形で客観化しておかなければ、そのアイデアを使いたいと思っている人も、そのアイデアのどの範囲までが利用可能なのかを判断することができません。

また、例えば、特徴的なデザインを有する商品について意匠権等を取得せずに販売してしまった場合(しかも、販売から半年以上経過し、また、著作物としては認められないものだとします)、いわゆる新規性がないとしてもはや権利を取得できず、だれもが利用可能な状態になっていたりしたら、本来はライセンスの種になり得たものがなり得なくなります。

もちろん、その商品の使用方法等について当事者間で契約するとか、商品の名称について商標を取得して商標をライセンスするということも可能ですが、前者では第三者の模倣を排除できませんし、後者では商標の無断使用を排除できても商品自体の模倣は排除できません。このような状態では、ライセンスを受けようとする人もいなくなるでしょう。

したがって、自らが考え出したアイデアや商品・サービスについてきちんと知的財産権の面で手当てしておくことが、利用したい立場からも安心してライセンスを受けるという観点から重要になってきます。

今知的財産事務

先行意匠


物品の外観デザインについて守りたい場合に利用できる法律の1つが意匠法です。

意匠についても特許と同様に、既に世の中にある意匠と同一・類似の意匠には意匠権は付与されません。

「既に世の中にある意匠」がどのようなところにあるかというと、まずは第三者の意匠公報です。その他にも各種雑誌や新聞記事等、様々な媒体があります。

そして、「先行意匠」は、特許公開公報や特許公報にも載っている場合があります。

つまり、特許公報等には図面が載っていることがありますが、その図面に意匠が表れている場合、その特許公報等が先行意匠が載っている媒体になり得ます。

意匠登録出願し、拒絶理由が通知された際に特許公開公報等が引用される場合がありますが、それは上記の通り特許公開公報等にも意匠が表されているからです。

「意匠」というとデザインなので、「なぜ特許公報が引かれるんだろう?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、外観だからこそ特許の図面にも表すことができ、その図面に自分が出願した意匠と同一・類似の意匠が既に載っていたとしたら、やはり新規性はないということになります。

もし拒絶理由通知の引用文献に特許公開公報があったとしても、それは審査官のミスではありませんので怒らないでくださいね。

今知的財産事務所
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プロフィール

【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

今知的財産事務所

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