何気なく手にする商品にも特許の争いがあったりします。
スーパー等で青果物を買う場合、青果物が樹脂フィルムの袋で包まれていたりしますが、そのような袋にも鮮度を長く保持できるようにするなどの様々な工夫がされており、特許もあったりします。
例えば、特許第4779658号(発明の名称:青果物用包装袋)という特許があり、請求項1には「フィルムを含む包装袋であり、前記包装袋に1個以上の切れ込みがあり、切れ込み1個あたりの長さL(mm)/フィルムの厚みT(mm)の比(L/T)が16以上250以下であり、Tが0.01mm以上0.1mm以下であり、青果物100gあたりの切れ込みの長さの合計が0.08mm以上20mm以下であることを特徴とする青果物用包装袋。」と記載されています(上記特許の特許公報から引用。)。
この特許については、知財高裁の平成26年(行ケ)第10254号 審決取消請求事件という事件がありました。
事件の概要は、原告(上記特許が邪魔な人)が特許庁に無効審判を請求したところ、特許庁では無効にならなかったため、特許庁の審決の取り消しを求めて本件訴訟を提起しましたが、原告の請求が棄却されたというものです(いろいろと争点はありますが、例えば容易想到性について裁判所が「包装袋に設ける切れ込みの合計長を包装する青果物量に応じて好適化するという技術的思想については,記載も示唆もない」と指摘しているように、新たな観点を見つけるということがとても有効だということが分かります。)。
こんなところにも特許があるのかと思うかもしれませんが、無効審判が請求されているということはこの包装袋が「邪魔だ」と思う人がいたということです。
つまり、他社の特許があると自社のビジネスの障害になるからこそ無効審判が請求されているので、特許の影響が大きいことが分かります。
「これぐらい大したことはない」と自分が思うのもであっても第三者にとっては大きな障害になったりしますので、本当に知財の手当てをしなくてよいのかどうかは、一度、専門家に相談するといいと思います。
※(補足)上記特許が大したことがないということでは決してありません(この特許のような新たな観点を見つける、という点はとても優れています。)。例えば、青果物を袋で包むことは通常行うでしょう、と思ったとしても、良好な保存状態を保つために工夫することが、自分は大したことはない、ちょっとしたことにすぎないと思っていたとしても、実は大きなインパクトになることもある、ということです。
今知的財産事務所
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