技術をデザインに活用することは昔から行われてきたことだと思いますが、最近は、より「技術とデザインの融合」が『目につきやすい形』でなされる例が増えてきた気がします。
ロンドンに拠点を置く「THEUNSEEN」(創設者:Lauren Bowkerさん)が面白い衣服や様々なアクセサリー(身回り品含む)を提案しています(→ホームページは
こちら。2017年4月5日検索。)。
コンセプトは、
目に見えないデータを色によって可視化する、というものだと思いますが、使っているのは、周囲環境(熱、圧力、湿気、或いは光等)により色が変化するインクです。
このインクを使って衣服を着色すると、例えば、周囲の温度が変化した場合や風があたって冷やされた場合に、その部分のみ、色が変わります。布の小片を組み合わせて作ったような衣服がTHEUNSEENのホームページに掲載されています。
また、衣服だけでなく、例えば髪の毛をこのインクで染めることで、周囲の温度変化によって色が変わったりします(風に髪がなびくと、それに応じて髪色が変わるという、見ていて面白い効果がありそうです。)。(→CNNの記事は
こちら。2017年4月5日検索。)。
更に、革製品をこのインクで着色すると周囲の圧力変化によって革製品の色が変わるので、例えば航空機の座席を革張りにし、革をこのインクで着色すると、航空機の高度変化により座席の色が変わったりします。
衣服にこのインクを応用した場合、着ている人の感情によっても色が変わるみたいですね(体温変化や発汗によって色が変わるということです)。
このような色の変化は、Bowkerさんによると、木の葉が季節によって色が変わることや、果物が熟すことによって色が変わる等の自然を模倣することに基づくとのこと。
いわゆるバイオミミクリーですね。
これだけなら、単に面白グッズで終わってしまいそうですが、そもそもBowkerさんは、自分の脊椎の状態をモニタリングできるような製品を作りたかったそうで、THEUNSEENの目的も「日常生活に役立つ製品を作ること」であるとしています。
CNNの記事においてBowkerさんは「色はユニバーサル言語だ」と述べていますが、色をコミュニケーションツールとして捉えている点も面白いですね。
このように、しっかりした目的のもと、適切なコンセプトを創って製品・商品を作っていく、というプロセスがあると、何らかの新技術をどう使ってよいのか分からない、分からないから技術があってもうまく行かない、というようなことには陥り難くなると思います。
今知的財産事務所
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