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逆転の発想+違う軸

 
富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」の販売が伸びているそうです。
デジタルカメラ全盛の時代ですが、フィルムを用いたカメラの販売が若い女性の間で伸びているようですね。
(参考: http://www.asahi.com/business/update/0205/TKY201302050494.html)

「チェキ」の場合、アナログからデジタルに移行してきたカメラの進化の逆を行っているわけですが、これは、一方に進みすぎるとその反動で逆方向に進むことの1つの例かなと思います。

ただ、「チェキ」の場合、単にデジタルからアナログに戻しただけでなく、製品パッケージに読者モデルを採用したり、販路を家電量販店だけではなくターゲットである若い女性がよく来るような街(原宿など)の店にしています。

つまり、「逆張りの発想+新しい軸」という思考で新たな価値創出をした例ではないでしょうか。

この例ではいろいろと考えることができます。
・逆張りの発想+新しい軸の追加でベクトルを変えた新機軸
・新機軸を実現することができる具体的な資産の蓄積
・誰よりも早く新機軸を市場に出すスピード

新機軸を考えたとしても、他社の二番煎じでは効果は薄いでしょう。やはり、どこよりも早く新機軸を市場に出す必要があります。そのためには、新機軸の『ヒント』にいかに早く気がつけるか?そして、『ヒント』に気がついたら、いかに早くそれを『実現』できるのか?実現するための具体的な『資産』はあるのか?等々、色々とクリアするハードルがあります。

「チェキ」の場合、海外ドラマで人気が出たとのことですが、そのような『予期せぬ成功』(つまり『ヒント』)にいち早く気付き、『カワイイ』という新しい軸を追加した新機軸を打ち出し、そこに投入することができる『資産』(つまり、「チェキ」及び「フィルム技術」)が自社内にあった、という点が「チェキ」のポイントではないでしょうか。

要するに、これまでと技術的に同じものであっても、提供する顧客が誰であり、その顧客にとっての価値は何であるか?を考えると、これまでと同じ技術であっても新たな顧客に新たな価値を提供することができるという例ですね。

同様の例は他にも結構あるかもしれません。

例えば、大分県豊後高田の「昭和の町」。

新しい街だとすると「ミッドタウン」や「表参道ヒルズ」にはかなわないし、古い街・伝統ある街だと京都や奈良にはかなわない。しかし、「昭和」であればそれらとはまた違う価値を(特に団塊の世代や昭和を知らない若い世代に対して)提供できると考えたのではないでしょうか?

このように一見するともう使えないかな、と思うようなものであっても見方を変え、他がまだ気が付いていない「新しい軸」を見つけることにより顧客に新しい価値を提供できるのではないでしょうか。

ここで重要なのは「もう使えないかなと思うようなもの」が現実に『ある』ということです。結局、企業が現在保有している「資産(知的財産を含む)」は過去からそこにある資産です。将来に向けて新たな価値を創出しようとする場合、他の誰も持っていない自らの資産をよく眺め、検討することがまず第1歩だと思います。

その上で、これまで自社内にない資産を創出していくという手順を踏めば、顧客に訴求する価値を創出し続けていくことができるのではないかと思います。


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【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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