コミュニケーション
最近の日経ビジネスは結構興味深い記事が多く面白く感じています。そして、日経ビジネスの2012円5月7日号には、珍しく「弁理士」という単語が多用されていました。
その記事は、「切り餅訴訟、訴え届かず」と題したサトウ食品工業社長の佐藤氏の記事です。
訴訟の経緯は日経ビジネス等に譲りますが、この訴訟に含まれる様々な論点のうち、私が最も強く感じたのは『コミュニケーション』です。
記事にも『弁理士とのコミュニケーション不足』とありましたが、一般的に依頼者側と弁理士側との間の『コミュニケーション』には以下のようなパターンがあるのではないでしょうか。
(1)依頼者側に熱意が足りず、弁理士もそれなりにしか対応しない。
つまり、依頼者側も「こんなの特許になるわけがないよ」とついつい考えてしまっていた可能性があります。もし依頼者側がその様に考えていると、表に出さないように努力しても、それは知らず知らずに外に出てくるもの。
そうすると、仕事をする弁理士も「何だ、この程度か」と思い、「それなりの」仕事しかしなくなります。すると、将来、結果的にあまり有効ではない特許出願になってしまう可能性があります。
(2)依頼者側に熱意が足りなかったものの、弁理士は自らの範疇で努力した。
一方、依頼者側に熱意が不足していても、その分を弁理士側が補う場合もあります。たいていは、担当弁理士が弁理士になりたての場合や若い場合、すなわち「仕事に燃えている」ような弁理士である場合にこのようなことがあるのではないでしょうか。
しかし、このような状況は長くは続きません。依頼者側に熱意がない場合、依頼者に接する弁理士はそれとなく察知しますので、もし他に熱意のある依頼者がいれば、そちらに力を入れてしまうのは至極当然のことでしょう。
(3)依頼者側に熱意があったが、弁理士には熱意がなかった。
このパターンの弁理士は弁理士の風上にも置けないですね。弁理士はいわばサービス業ですので、依頼者の熱意を十分にくみ取り、それに応える必要があります。
このような弁理士はいないのではないか?と思われるかもしれませんが、、、、いや~、そうとも言えない状況を目の当たりにした私としては・・・・
(4)依頼者側の熱意が弁理士にも十分に伝わった
このパターンが最も良いパターンでしょう。依頼者の熱意が、実際に仕事をする弁理士に十分に伝わり、「よし、一丁やってやるか!」と弁理士が思えばしめたもの。依頼者の意図を十分にくみ取るだけでなく、将来の権利行使も十分に想定して一生懸命仕事をするからです。
この依頼者の「熱意」ですが、実際に仕事をしていると、本当に良く感じることがあります。「熱意」に接していると、正直な話、初めは「この発明だとなぁ」と思っていたとしても、「ここまで一生懸命になっているのなら、とことん付き合いましょう!」という気になるものです。それで実際に特許権を取れたりするので不思議なものです。
結局のところコミュニケーションは「双方向」であることを忘れてはならないのではないでしょうか。依頼者側としても、単に仕事を「出す」というのではなく、仕事を弁理士と一緒にやっていく、それも自社の将来のために一生懸命やっていく、という姿勢があれば、対応する弁理士もそれに応えようとするのではないかと思います。
弊所は御社の熱意に応えます。
今知的財産事務所
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