自発的な行動~ウィズ・ザ・スタイル・フクオカの例
世の中のMOTでは技術と経営の関係だけを論じているところもあるようです。しかし、経営というのは「人」が関わってくるものなので、人の感情と組織の問題とについても考えなければなりません。その点、理科大のMOTは幸か不幸か?「人」に関する視点や「現場を想像する力」等についても様々なディスカッションが行われるので、とても実務に即していると思います。
さて、働く人々に実務で責任を持たせるためには、人の正しい配置、仕事の高い基準、自己管理に必要な情報、及びマネジメント的視点を持たせる機会のすべてが必要です(ドラッカーの現代の経営より)。つまり、「自発的な行動」をいかにして導き出すかということが重要です。「自発的な行動」を実践することにより『責任を果たす→達成感が生まれる→再び自発的に仕事に取り組む』という正のスパイラルが回るのではないかと思うからです。
例えば、2004年に開業した「ウィズ・ザ・スタイル・フクオカ」というホテルがJR博多駅から少し離れた所にあります(参考文献:日経ビジネス2010年6月28日号)。
このホテル、部屋数はたったの16室!しかも、繁華街から離れており、立地条件は良くないのですが、宿泊単価が平均3万5000円で稼働率が70%近くあり、外資系の高級ホテルと互角に戦っています。
このホテルでは、スタッフが楽しく働くことができる雰囲気を作っているという側面もあるのですが、スタッフの「自発性」を引き出す工夫もしています(あるいは、そのような風土を創ったのかもしれません)。
例えば、キッチンでは、料理長の言われるがままにコックやスタッフが作業するということはありません。「お客様にとってこの料理はベストかどうか?」という視点から、ホテルのメンバーが一体となってベストな料理を模索しています。つまり、キッチンのスタッフは、最高の仕事を目指して自ら仕事に参画しています。これが一因であると思いますが、このホテルの料理には定評があるそうです。
また、このホテルでは、なんと!アルバイトにメニュー開発を任せることもあります。通常のホテルですと料理長がメニューを開発し、スタッフはそれに従いますが(つまり、料理長が絶対君主的に恐怖をもって従わせていますが)、このホテルではコックやバイトにも挑戦させるのです。更に、接客担当のバイトと社員とが、フォークのセッティングで議論することもあるそうです。それというのも、フォークのセッティング一つをとっても、お客様が心地よいと感じるタイミングがあり、その理想を追い求めるために議論になるのです。
「ウィズ・ザ・スタイル・フクオカ」の理念は“I’m one of customers”で、全スタッフに顧客『思考』(「志向」ではありません!)が徹底しているようです。この理念に沿い、各スタッフが最高の仕事を目指して自発的に、そして責任を感じて「顧客思考」で仕事をしているからこそ、宿泊客が満足するサービスを提供することができ、企業としての成功につながっているのではないかと考えられます。
翻って、赤坂プリンスホテルは2011年3月31日に閉館しましたが、その理由は「ホテルの老朽化による競争力低下」でした。しかし、本当にそれだけだったのでしょうか?当事者ではないのでわかりませんが、「ウィズ・ザ・スタイル・フクオカ」よりはるかに立地もよいホテルが、同じホテル業界であるにもかかわらず閉館しています。この差はなんでしょうか?「顧客思考」や「自発性」がポイントになっているような気がします(もちろん、きちんと調査していないのでわかりませんが…)。
また、星野リゾートは、経営が悪化したリゾート施設を次々に建て直しています。星野リゾートも、例えば、アルファリゾート・トマムの「雲海テラス」誕生の経緯を見れば、社員に「参画させる」ことがポイントになっています。
何かうまくいかない!と言った時は顧客の立場と社員の自発性に着目して経営を見直してみるのも一つの手なのかもしれませんね。
今知的財産事務所
さて、働く人々に実務で責任を持たせるためには、人の正しい配置、仕事の高い基準、自己管理に必要な情報、及びマネジメント的視点を持たせる機会のすべてが必要です(ドラッカーの現代の経営より)。つまり、「自発的な行動」をいかにして導き出すかということが重要です。「自発的な行動」を実践することにより『責任を果たす→達成感が生まれる→再び自発的に仕事に取り組む』という正のスパイラルが回るのではないかと思うからです。
例えば、2004年に開業した「ウィズ・ザ・スタイル・フクオカ」というホテルがJR博多駅から少し離れた所にあります(参考文献:日経ビジネス2010年6月28日号)。
このホテル、部屋数はたったの16室!しかも、繁華街から離れており、立地条件は良くないのですが、宿泊単価が平均3万5000円で稼働率が70%近くあり、外資系の高級ホテルと互角に戦っています。
このホテルでは、スタッフが楽しく働くことができる雰囲気を作っているという側面もあるのですが、スタッフの「自発性」を引き出す工夫もしています(あるいは、そのような風土を創ったのかもしれません)。
例えば、キッチンでは、料理長の言われるがままにコックやスタッフが作業するということはありません。「お客様にとってこの料理はベストかどうか?」という視点から、ホテルのメンバーが一体となってベストな料理を模索しています。つまり、キッチンのスタッフは、最高の仕事を目指して自ら仕事に参画しています。これが一因であると思いますが、このホテルの料理には定評があるそうです。
また、このホテルでは、なんと!アルバイトにメニュー開発を任せることもあります。通常のホテルですと料理長がメニューを開発し、スタッフはそれに従いますが(つまり、料理長が絶対君主的に恐怖をもって従わせていますが)、このホテルではコックやバイトにも挑戦させるのです。更に、接客担当のバイトと社員とが、フォークのセッティングで議論することもあるそうです。それというのも、フォークのセッティング一つをとっても、お客様が心地よいと感じるタイミングがあり、その理想を追い求めるために議論になるのです。
「ウィズ・ザ・スタイル・フクオカ」の理念は“I’m one of customers”で、全スタッフに顧客『思考』(「志向」ではありません!)が徹底しているようです。この理念に沿い、各スタッフが最高の仕事を目指して自発的に、そして責任を感じて「顧客思考」で仕事をしているからこそ、宿泊客が満足するサービスを提供することができ、企業としての成功につながっているのではないかと考えられます。
翻って、赤坂プリンスホテルは2011年3月31日に閉館しましたが、その理由は「ホテルの老朽化による競争力低下」でした。しかし、本当にそれだけだったのでしょうか?当事者ではないのでわかりませんが、「ウィズ・ザ・スタイル・フクオカ」よりはるかに立地もよいホテルが、同じホテル業界であるにもかかわらず閉館しています。この差はなんでしょうか?「顧客思考」や「自発性」がポイントになっているような気がします(もちろん、きちんと調査していないのでわかりませんが…)。
また、星野リゾートは、経営が悪化したリゾート施設を次々に建て直しています。星野リゾートも、例えば、アルファリゾート・トマムの「雲海テラス」誕生の経緯を見れば、社員に「参画させる」ことがポイントになっています。
何かうまくいかない!と言った時は顧客の立場と社員の自発性に着目して経営を見直してみるのも一つの手なのかもしれませんね。
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