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素材とデザインの要素


デザインに幅を持たせるためにはデザインを構成する各要素を工夫する必要もあります。

例えば、デザインを施す対象である商品の色に工夫を凝らしたい場合もあるでしょう。

知財高裁の平成28年(行ケ)第10064号 審決取消請求事件という事件があります。

この事件は、発明の名称が「ポリビニルアルコール系重合体フィルム」という特許5638533号に対する特許無効審判が特許庁に請求され、この無効審判において請求不成立審決がなされたので、原告(無効審判を請求した人)がこの不成立審決を取消すために提起した訴訟です。

この訴訟の結果として、無効審判の審決が取り消される判決が出されました(但し、その後、特許権者が訂正請求し、この訂正請求に対して審判請求人は特に弁駁せず審理が進んで無効審判は請求不成立で終わり、結果として特許は無効にはなっていません)。

この特許に係る発明は「界面活性剤を配合して製造されたPVA系重合体フィルムをロール状に巻いて、これを常温近辺に温度コントロールした倉庫内に数ヶ月間程度保管した時に、ロールの色が著しく黄色味を帯びる問題がある・・・この黄変は・・・包装材料として使用した場合に内容物の色が黄色味を帯びたり、偏光フィルムを製造する際の原料として使用した場合に得られる偏光フィルムを透過した光線が黄色味を帯びたりして、消費者や使用者に対して悪印象を与える可能性があった」ことから、「常温近辺に温度コントロールした倉庫内などに数ヶ月間程度保管した後であってもフィルムの色が黄色味を帯びにくいPVA系重合体フィルムを提供する」ことを目的としてなされたものです(上記特許の特許公報の段落【0005】~【0006】から抜粋)。

請求項の記載は省きますが、フィルムの「黄変」という課題を解決するための発明で、消費者等に「悪印象を与え」ないようにするという観点が、デザインに幅を持たせる1つのポイントになりそうです。

素材系の発明だとデザインから遠いような印象を持たれるかもしれませんが、そうでもない例だと思います。

何らかの素材を製造販売しているのであれば、それを新たな製品・商品にどのようなシーンで用いられるかを考えれば、これまでと違った観点から新たな知見が得られることもありそうです。

こういった観点から素材を生かす工夫が様々な企業でなされており、だからこそ上記のような係争も生じるのかもしれませんね。

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【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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