技術と顧客吸引力
知財実務に携わるとともに、知財やMOT関連について折に触れて研究(というか勉強?)しています。
特に、顧客吸引力に資する知財の役割について興味を持っています。以前、知的財産研究所のIIP知財塾においては、「BtoBビジネスにおける顧客吸引力に資する知財の役割と活用について」として研究、発表をさせていただきました。
「顧客吸引力」と聞いてすぐに思い浮かぶのは、ブランドではないかと思います。確かに「顧客吸引力」の大部分をブランドが占めることは否定できません。
しかし、まだ研究途上ですが、「技術」においても「顧客吸引力」を発揮する場合もあると考えています。「技術」、特に「発明」となると技術的なアイデアなので、五感で把握しにくいことから「顧客吸引力」をどのように発揮するのか(あるいはしないのか)が問題になります。
ところが、近年では、「技術」が「顧客吸引力」を発揮する例もちょくちょく目にするようになりました。
具体的には、筆記用具の分野でその例が多く出ていると思います。例えば、消えるボールペンの「フリクションボール」、芯先がいつも尖っている「クルトガ」、シャープペンシルの芯が折れない「デルガード」等々、「技術(=機能)」自体が顧客が「欲しい」という商品になっています。
もちろん、「こうしたい!」というコンセプトが開発の上流で必要ですが、「顧客吸引力」が何もブランドや商標の分野だけではないことの例ではないかと思います。
ただし、これらは消費者にとって身近なものであり、(実際は難しい技術が詰まっているとはいえ)一般消費者にとって理解しやすい技術分野であるともいえそうです(ここらあたりを、深く検討する必要がありそうです)。
なお、既に進化しようがないと思っていた分野であっても(あるいは、技術が枯れてしまったと思っていても)、実際は上記の例のように、まだまだ新たな価値を創造することができる余地があります。いわば、常識を壊すところからこれらの商品が出てきているような気がします(これは、マーケティング志向の逆転の発想も関係していると思いますが)。
それはともかく、「技術」が「顧客吸引力」を発揮するということも念頭に、商品・製品開発することも有用ではないでしょうか。
今知的財産事務所
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