特許出願するときに、必要に応じてではあるのですが図面を作成することがほとんどです。私も特許出願のための書類を作る際にはポンチ絵をよく書きます。
たいていシャープペンシルでポンチ絵を描き、適切なポンチ絵になるように描いたり消したりするのですが、その際に活躍するのが消しゴムです。ただ、消しゴムも使ってくると角がなくなり、消しづらくなることがありますね。
そんな要望に応えるためでしょうか、ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、コクヨが「
カドケシ」という消しゴムを出しています。
2003年にはグッドデザイン賞を受賞し、2005年にはニューヨーク近代美術館の「MoMAデザインコレクション」にも選定されています。
この「カドケシ」、ユニバーサルデザインのステーショナリーの受賞作品から生まれたそうで、デザイン的に優れているだけかというとそうではありません。
実は、特許権も取得しているのです(特許第4304926号)。
何らかの商品を開発した場合、特許権や意匠権を取得し、ネーミングは商標権を取得して商品を他社の模倣から守りたい!と考えますが、一見すると「発明」ではないのではないかと思ってしまうような商品の場合、特許出願をあきらめてしまう場合が多いかもしれません。
しかし、優れたデザインには何らかの「機能」が付随していることが多くあります。以前、このブログでも少し紹介したOXO社の計量カップもデザインに優れているだけではなく、これまで当たり前だと思っていた動作を排するという機能を備えています(「
デザインだけ?」)。
このように、一見すると何の変哲もないような商品でも優れた「機能」がある場合、デザインとして意匠権を取得するだけではなく、その「機能」を表す技術思想(簡単に言えば、技術的なアイデア)を特許権として取得することも可能なのですね。
技術的な部分を特許権で守り、デザインを意匠権で守ることで、ビジネス上とても優位な立場を築くことが可能になります。
ちなみに「カドケシ」は商標権(第4684894号)も取得しています。弊所が標榜する「知財複合戦略」の一例といえるかもしれません。
今 知的財産事務所
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