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専門職とビジネス視点

ドラッカーの主張は欧米というより、日本人、日本社会にとって非常に親和性があるような気がしています。

それはそうと、ドラッカーの『現代の経営』には「専門職」についての記述があります。

例えば、「彼らの仕事そのもの、仕事の基準、目標、視点が、専門家としての基準(中略)によって規定されるということであり、事業の外の世界で決められるという事である。」とか、「専門職の目標は、彼らに対しマネジメント的な視点を与え、彼らの仕事と事業との関連を明らかにするものでなければならない。」とドラッカーは言っています。

ドラッカーの言う「専門職」は、ある企業内に「属している」ことが前提だと考えられます。企業内の専門職であれば、彼らにマネジメントへの参画を意味するような特別の仕事を与えることも比較的容易です。

一方で、企業「外」の専門職が企業「内」専門職と同様の立場になることができるとは限りません。しかし、「外」にいるからとはいえ「マネジメント的視点」を欠如していては、いくら「素晴らしい仕事ぶりがそれなりに評価される」としても、継続的にその「外」の専門職に仕事を依頼するとは思えません(「それなりに」というのが怖いですね(^^ゞ 自己満足になってしまっているかもしれませんから)。

日経ビジネスの2010年9月13日号には、日経ビジネスが上場企業217社に対し弁護士に関するアンケートをとった結果が載っています。

アンケート結果から、顧問弁護士が会社の事業内容に明るくないことから「専門性が偏っており、対応しきれない問題がある」ことや、「最新の情報に精通していない」等の問題があることが分かったとのことです。

確かに企業外部の専門職に対し、事業との関連を明らかにせず仕事を丸投げしてしまっては、企業が望む結果を得ることは難しいでしょう。事業との関連が分からなければ「専門家」として事業の「外」で事業の「目標」とは関係なしに、自らの目標を定めざるを得ないからです。

その一方で、企業内に専門職を抱えると、その専門職は自らが属する事業に「沿った」仕事を強いられ、事業環境が急変する場合や、現在のように事業環境の変化が激しい場合、外部では当たり前にできることもできなくなっている可能性もあります。つまり、「つぶし」が効かなくなってしまう恐れもあるのではないでしょうか。

翻って弁理士についても、社内弁理士が多くても知財戦略がいまいちの企業もあれば、社内弁理士が少なくても知財戦略に優れている企業も存在しています。この違いは、おそらくドラッカーの言う通り「マネジメント的な視点」を与えているか否かと、外部の弁護士・弁理士の活用方法の違いにあると思われますが、なぜ「マネジメント的な視点」を与えることができたりできなかったりするのか?外部の弁護士・弁理士の活用方法にどのような違いがあるのか?等について、経営者がよく考える必要があるのではないでしょうか。
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【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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