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プロフィール

【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。MOT系弁理士です。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

今知的財産事務所

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知財の仕事をしていると、著作権の相談を受けることもあります。その中で最初によく問題になるのは、対象となるものが『著作物』に該当するのかどうかについてです。

著作権法の保護対象である「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)です。表現の対象となった思想や感情、そして『アイデア』それ自体は『著作物』ではありません。したがって、『アイデア』自体には著作権法による保護は及ばないのです。

この辺を誤解してしまうと、実際は著作権が発生していないにもかかわらず、著作権があると思ってしまうことがあります。

例えば、平成24年(ワ)第25843号 著作権侵害差止等請求事件(東京地裁)では、裁判所は次のように判断しています。

「原告は,本件書籍の著作物性は本件書籍の各表が創作性を有することに基礎付けられている旨主張し,その創作性の具体的な内容として,本件書籍の各表が,自動車に用いられるプラスチック部品につき最適の選択と配列を行い,その採用プラスチックについて原告の実務経験に基づく情報を掲載しているため,他の資料にはない正確かつ詳細な最新情報が記述され,読者に今後の技術開発・市場開発の将来展望を与えるものとして,原告の個性と独創性が発揮されていることを挙げている。

しかしながら,原告の上記主張は,本件書籍の各表を作成するに当たってのアイデアの独創性や,本件各表に記載されている情報そのものの価値を主張するものにすぎずこれらは著作権法による保護の対象となるものではない。」(赤字、下線は本ブログ著者が付与)

つまり、どんなに額に汗を流して独創的なアイデアを考えたとしても、また、どんなに努力して情報を集めたとしてもアイデア自体や情報自体は著作権法では保護されません。

あくまでも『表現すること』がポイントになってきます。

何でもかんでも著作権で保護されますよ、ということはありませんので注意が必要です。

今知的財産事務所




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2014/03/01(土) 23:46 | コメント:0 | トラックバック:0 |
 
とある裁判例(平成25(行ケ)10111 審決取消請求事件 平成26年01月30日 知的財産高等裁判所)を読んでいたら、拒絶対応で使えそうな言い回しを見つけました。
 
裁判例に入る前にそもそもの前提なのですが、特許出願した後、拒絶理由が大抵きます(もちろん審査請求した後)。拒絶を解消するために特許請求の範囲等を「補正」するのですが、「補正」には根拠が必要です。

つまり、特許法第17条の2第1項には「特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。(以下略)」と規定されています。

そして、同条第3項には「第1項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、(中略)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(中略)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。」と規定されています。

ここから明らかなように「補正」は当然に「図面」に記載した事項の範囲内においてすることができます。

これが結構後々重要になったりすることがあります。拒絶理由通知を受け取った場合、「あ~、これを書いておけば拒絶をクリアできるのに」ということがよくあります。しかし、明細書に文章として記載がなくても図面から読み取れるのであれば、図面から読み取れる内容を用いて「補正」することができます。

今回取り上げた裁判例の判決では、「・・・願書に添付する図面は,原則として製図法に従って描くものとされており(例えば,特許法施行規則25条,様式30の備考4項),上記刊行物に記載された図面は,設計図面のように各部の寸法や角度,曲率の値は特定できないとしても,各部の相対的な位置関係や配置構造については,大きな誤りなく記載されているというべき・・・」と判断され、

「・・・原則として製図法に従って描くものとされていることなどからすると,図面に表示された寸法や角度,曲率などは必ずしも正確でないとしても,各部の相対的な位置関係や配置構造については,大きな誤りなく記載されているというべきである。また,確かに,刊行物4,6及び7の明細書部分等には,おむつの上端を一直線に揃えることを要件とする旨の記載はなく,各刊行物に記載された発明において,この点が構成とはされていないものの,図面により,おむつの上端を一直線に揃えることの技術的意義を理解することは可能である。各刊行物の図面は,各刊行物に記載された発明の代表的な実施態様の一つを示したものと解することができるのであって,各刊行物には,そのような実施態様の一つとして,各図面に記載されているように,装着時におむつ本体の上端と耳部の上端をほぼ同じ高さにするとの技術が開示されているということができる」
と判断されています。

この言い回しは拒絶理由対応でも使えそうですね。

図面から技術的意義を理解することが可能であれば、その技術が開示されているということができるので、その開示内容を用いて「補正」することができます。

したがって、文章として記載していないからといってすぐにあきらめる必要はなく、図面から読み取れるかどうか?を考えると、突破口が見つかったりします(その分、特許出願時に図面をどう描くかが重要になりますが)。

そして、通常、拒絶理由対応は文章だけで審査官とやり取りすることになります。

しかし、図面を用いた「補正」には結構、解釈によってOKだったりNGだったりしますので、実際に「補正」する前に、審査官に面談や事前確認を申し込み、面接審査や事前確認をすることが有効です。

面接や事前確認によりその「補正」が新規事項追加ではないよ、という確証が得られることがありますので、ぶっつけ本番で補正書を提出するより安全です。

弊所ではそういったきめ細やかな対応も行っています。といいますか、補正書を出す前に面談や事前確認をした方が良い結果が得られやすいので、率先して提案しているだけですが…(大事務所ではなく、小規模事務所だからこそできるのかもしれません)。

今知的財産事務所

2014/02/03(月) 12:27 | コメント:0 | トラックバック:0 |
 
最近、知財高裁のある判決(平成24(行ケ)10426 審決(無効・不成立)取消 平成25年12月26日判決)がありました。

原告が特許庁に特許(特許第3511970)に対する無効審判を請求しましたが、特許庁で「審判の請求は,成り立たない」と判断されたため(特許は有効)、それに不服の原告が知財高裁に訴えを提起した事案です。

結果として、判決では原告の請求が棄却されています。
(ちなみにこの特許、日亜化学さんの特許で発明者は中村修二さんでした。無効審判を何回か起こされているところを見ると、特定分野では結構重要な特許なのでしょうね)

争点はいくつかありますが、かつて発光ダイオードの研究開発に携わっていた身として、個人的に興味深かった点がありました。

それは、裁判所が、「相違点1は,半導体が,本件発明1では,「窒化物半導体」であるのに対して,引用発明1では,「InGaAlP緑色LED用光半導体結晶」である点である。(中略)引用例1をみても,引用発明1に係るLEDの構成が,InGaAlP緑色LEDのほか,InGaAlP活性層の組成を適宜変えることにより,黄色,橙色,赤色,赤外LEDにも適用できることは開示されているものの,青色LEDやGaN等の窒化物半導体を活性層に用いたLEDに適用することについては,何ら記載がない。したがって,引用例1には,引用発明1について,同発明を構成する「InGaAlP緑色LED用光半導体結晶」に代えて,本件発明1のような「窒化物半導体」を採用することの動機付けはないから,(中略)当業者において,引用発明1に基づき,相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたということはできない。」と判断した点です。

極めて大雑把にいえば、窒化物半導体の特許を無効にする根拠の1つとして、InGaAlP系の引用発明を持ってきたのですが、この引用発明の明細書には窒化物半導体を活性層に用いたLEDに適用できるという記載がないから、この引用発明に記載されている「InGaAlP緑色LED用光半導体結晶」を窒化物半導体に置き換えることができない、というものです。

記載がないのはそうなんですが、開発者としては隣でやっていることを試してみようかなぁ、と思うこともないわけではありません。ただ、分野によっては他のものに簡単に置換できるわけではない技術もありますから、他の技術に置き換えることを思いつくかはどうかは、その特許の目的、出願当時の技術水準や技術常識等をいろいろと検討したうえで慎重に判断する必要があります。

まぁ、特許的には記載が全て、ですね。第三者の特許を無効にする際には動機づけとなる記載があるか否かを細心の注意を払って見つけなくてはなりません。

しかし、(もちろん、発明が解決しようとする課題等が異なることを前提に)上記裁判所の判断は、拒絶理由対応にも応用できますね( ..)φ

判決の全文はこちら↓
http://www.ip.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140107151443.pdf


今知的財産事務所

2014/01/29(水) 15:57 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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