発送書類の受取

 
今回はマニアックな話です。

特許や商標の出願はインターネットを通じ、基本的に365日24時間いつでもできます。

一方で、特許庁からの発送書類は原則として、特許庁開庁日の9時~22時の間に取得できます。

そして、インターネット出願ソフトを使用している人なら(のみ?)分かるのではないかなと思うのですが、「発送書類の受取」を確認するとき、私はいまだに結構緊張します。

特に、拒絶理由に応答した案件が特許庁に係属中で、そろそろ結果が来る頃だなぁ~というときに「発送書類の受取」をクリックし、特許庁のサーバと通信して発送書類が「〇件あります」と表示されたときがもっともドキドキしますね。

特許査定なのか拒絶査定なのか、はたまた、また拒絶理由なのか…

そういったときにPCT出願を日本へ移行した案件の出願番号通知だったりすると、ちょっと肩透かしだったり…

もう少し発送書類の受取の時に緊張しないようなやり方ってないものでしょうかね。。。

とはいえ、特許査定や登録査定の文字が目に飛び込んできたときは、とてもホッとします。

今知的財産事務所
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利用したい立場からも権利が重要

皆さんが土地を持っているとします。その土地に家を建てて自分で住んでいたり、駐車場にして利用するのであればまだしも、土地を持っているだけで自分では特に利用する予定がないという場合、どうするでしょうか?

誰か他の人に貸す、ということを考える場合があると思います。

知的財産権も同様に、自分で使わなくても第三者に貸す、つまり、ライセンスすることができます。

ここで「知的財産権」と記載しました。特許権や意匠権、商標権等のことです。

きちんと権利として確立していれば権利者としてもライセンスしやすく、ライセンスを受けたい側も権利としてキッチリしているのが分かれば、どのような権利内容であるかをきちんと把握できます。

困るのが権利として確立していないアイデアや、権利をとっていなかった商品等です。

アイデア自体も知的財産に該当し得ますが、それが権利の形として確保できるかどうかは別物です。しかも、そのアイデアを何らかの形で客観化しておかなければ、そのアイデアを使いたいと思っている人も、そのアイデアのどの範囲までが利用可能なのかを判断することができません。

また、例えば、特徴的なデザインを有する商品について意匠権等を取得せずに販売してしまった場合(しかも、販売から半年以上経過し、また、著作物としては認められないものだとします)、いわゆる新規性がないとしてもはや権利を取得できず、だれもが利用可能な状態になっていたりしたら、本来はライセンスの種になり得たものがなり得なくなります。

もちろん、その商品の使用方法等について当事者間で契約するとか、商品の名称について商標を取得して商標をライセンスするということも可能ですが、前者では第三者の模倣を排除できませんし、後者では商標の無断使用を排除できても商品自体の模倣は排除できません。このような状態では、ライセンスを受けようとする人もいなくなるでしょう。

したがって、自らが考え出したアイデアや商品・サービスについてきちんと知的財産権の面で手当てしておくことが、利用したい立場からも安心してライセンスを受けるという観点から重要になってきます。

今知的財産事務

先行意匠


物品の外観デザインについて守りたい場合に利用できる法律の1つが意匠法です。

意匠についても特許と同様に、既に世の中にある意匠と同一・類似の意匠には意匠権は付与されません。

「既に世の中にある意匠」がどのようなところにあるかというと、まずは第三者の意匠公報です。その他にも各種雑誌や新聞記事等、様々な媒体があります。

そして、「先行意匠」は、特許公開公報や特許公報にも載っている場合があります。

つまり、特許公報等には図面が載っていることがありますが、その図面に意匠が表れている場合、その特許公報等が先行意匠が載っている媒体になり得ます。

意匠登録出願し、拒絶理由が通知された際に特許公開公報等が引用される場合がありますが、それは上記の通り特許公開公報等にも意匠が表されているからです。

「意匠」というとデザインなので、「なぜ特許公報が引かれるんだろう?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、外観だからこそ特許の図面にも表すことができ、その図面に自分が出願した意匠と同一・類似の意匠が既に載っていたとしたら、やはり新規性はないということになります。

もし拒絶理由通知の引用文献に特許公開公報があったとしても、それは審査官のミスではありませんので怒らないでくださいね。

今知的財産事務所

審査状況伺書


特許庁で審査中の特許や商標について、なかなか特許庁から連絡(拒絶理由、若しくは特許査定)が来ない場合があります。

一体、審査はどうなっているの?早く知りたい!と思うと思います。

その場合、「審査状況伺書」という書面を特許庁に提出することで、審査の状況が現在、どのような状況であるかが分かります。

特許庁のホームページ(→コチラ。2018/1/29現在)にアクセスすると、提出方法が詳しく記載されています。

商標だけは電子メール(というか、ネット上の問い合わせフォーム)から審査状況を問い合わせることができるようになっています(特許も同様にしてほしいところですが…)。

とはいえ、「審査状況伺書」を提出しても、早期審査等を利用していない限り審査が早まるわけではありません。

しかし、審査官にも「審査状況伺書」が提出されたことについて連絡が行くようです。

以前、とある特許の案件で「審査状況伺書」を提出し、電話で審査官と話したことがあるのですが、その際、「伺書を提出されており、重要な案件なのですね。」というようなことを言われたことがあります。

審査が早まるわけではないですが、審査官の注意を向ける、という点では「審査状況伺書」はそれなりに有効かもしれません。

今知的財産事務所

特許は技術的アイデアを、著作権は具体的表現を守る

 
ときどき、「自分のアイデアについて書類にまとめているから、このアイデアは著作権で守られていますよね?」というようなことを尋ねてくる方がいます。

これは大きな誤解で、アイデア自体は著作権法で守られることはありません

著作権の保護対象は「著作物」ですが、「著作物」は、その人が自分の思想や感情をこめて具体的に「表現したもの」であり、思想や感情自体、つまりアイデア自体は著作物ではないからです。

上の例で言えば、アイデアについてまとめた「書類に表現されたもの」は著作物になり得るので、例えば、その書類に記載した文章を誰かがコピペ等してマネをしたら著作権侵害を問える場合がありますが、アイデア自体を誰かが使っても著作権侵害を問うことはできません。

例えば、京都地裁の裁判例に「アンコウ行灯事件」というものがあります(平成6(ワ)2364)。

以下、判決文の抜粋です。

 「(中略)「表現形式上の本質的特徴」は、それぞれの著作物の具体的な構成と結びついた表現形態から直接把握される部分に限られ、個々の構成・素材を取り上げたアイデアや構成・素材の単なる組み合わせから生ずるイメージ、著作者の一連の作品に共通する構成・素材・イメージ(いわゆる作風)などの抽象的な部分にまでは及ばないと解するべきである。
(中略)
・・・原告は、原告の著作物の表現形式上の本質的な特徴は、いわゆる従来の「火もらい」とは異なるデザイン重視の容器を製作し、さらにその容器内部に液体を満たして、その表面上に発光体を浮かべて、一体のものとして幽玄な空間を表現している点に存する旨主張するが、こうした点は個々の著作物を離れた抽象的なアイデアに属するものであり、右の点の類似のみを理由として著作権侵害の有無を論じることはできない。(以下略)」(下線は筆者が付与)

つまり、「容器を製作し、さらにその容器内部に液体を満たして、その表面上に発光体を浮かべて、一体のものとして幽玄な空間を表現」するという抽象的なアイデアに類似していたとしても著作権侵害ではないということです。

したがって、アイデアを保護したい場合、技術的なアイデアは特許、外観デザインに関するアイデアは意匠というように、著作権以外の知財で対応する必要があります。

ただし、技術的なアイデアでもなく、外観デザインにも関係しないアイデア等については、そのアイデアをそのまま保護することができない場合があります。

そのような場合、そのアイデアを何に使うのか、どう使うのかというそのアイデアを使う具体的シーン等を検討したうえで、間接的に特許法、意匠法、商標法、あるいは著作権法や不正競争防止法で対応できないかを考えることになります。

なお、上記の判決文の記載、特許請求の範囲っぽくなっているのが面白いですね。

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【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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