SDGsと知財


SDGsをご存知でしょうか?

SDGsは「持続可能な開発目標」のことで、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)で残された貧困等の課題や、国際的に問題となっている気候変動、格差是正等を含んだ17の目標と169項目のターゲットが盛り込まれた国際目標のことです。

とあるところから「SDGs×知財×α」というような感じで検討してみない?とのお話をいただいたので、色々と検討しているところです。

それはそれとして、SDGsの目標やターゲットは、普通の企業、もちろん、中小企業やベンチャー企業にとってもとても有用です。

何が有用かというと、例えば、何らかの技術を持っている(or開発した)けど、その適用先がなかなか思いつかない、といったような場合に、SDGsの目標やターゲットを眺めてみると、意外にも多くの適用先が見つかる場合があると思います。

17の目標と169項目のターゲットはネット検索すれば様々なところで紹介されていますが、例えば、ユニセフのHPにも紹介されています(2018/5/22検索)。

例えば、「目標6.すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」の中に、「6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。」という項目があります。

東京都は世界でも類を見ない水処理技術を有しているのでその技術を活かして上記目標に貢献できると思いますし、水回りの技術に携わっている企業も、自分たちの技術を使って上記目標に貢献するにはどうしたらよいか?と視点を世界に移せば、飲料水に困っている人々の助けになると共に、自社技術のプレゼンスも世界的に向上する可能性があります。

MDGsはトップダウン的な目標決定だったのですが、SDGsは『3年の年月をかけて途上国、先進国を含むあらゆるステークホルダーの議論を踏まえて策定されたもの』であり、民間の意見を取り入れて作られたものなので、『企業を意識した内容が色濃く反映されてい』ます※1。

つまり、民間のことを念頭においてSDGsは策定されており、民間企業との親和性も高いのではないかと思います。

そのため、企業にとってSDGsは、ビジネスにおける機会としてどのようなものがあり、新規市場を切り拓く可能性を示唆してくれるものとも言えますし、目標やターゲットを眺めて検討するだけでも、「このような課題があるのか。自社技術をこうして使えば解決できるかもしれない。」というようなアイデアが浮かぶかもしれません。

そして、「ビジネス」や「新規市場の開拓」、「ビジネスにおける機会」とくれば、当然、知財も関わってきますので、弁理士も力を発揮できるかもしれません。

文科省等からSDGsのアクションプログラムが発表されていますので、日本でもこれから議論がどんどん活発になるのではないでしょうか。

今知的財産事務所

※1 以下の文献から引用させていただきました。
足達英一郎、村上芽、橋爪麻紀子著、「ビジネスパーソンのためのSDGsの教科書」、日経BP社(2018年)、12-15頁
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技術コンセプトを外に出すときには要注意


何らかの製品・サービスを世の中に出そうとする場合、まだ製品は完成していないものの基本コンセプトは既にあって、どうやってカタチにしていくかを考えることや、モックアップを作ったのでそこからプロトタイプ、製品へとつなげていこうと考えること等があると思います。

特に中小・ベンチャー企業では、アイデアがありモックアップやプロトタイプレベルまでは何とか自力でできるものの、製品化する際には自力では無理なので外の企業と協業したい、と思うことがあると思います。

しかし、基本コンセプト等に関して何も手当をせずに外の企業に接触することにはリスクがあります。

知財は基本的に無体財産であり、例えば、特許の対象である発明は技術的アイデアという「情報」です。「情報」は自分の頭の中にとどめておけば独占できますが、ひとたび話してしまうと、何も手を打っておかなければ、もはや独占できません。

そこで、技術的アイデアが含まれるコンセプト等を元に外部企業と接触する場合、事前に特許出願をし、第三者に自分たちのアイデアを盗まれないようにすることがリスク管理の一つになります。

もし特許出願せずに外部企業と接触すると、最悪の場合、「そのアイデアは大したことないですね」といって追い返された後、気が付いた時にはその企業にそのアイデアや改良したアイデアについて特許出願されてしまっていた、ということも起きないとも限りません。

もちろん、基本コンセプトやモックアップ、プロトタイプの段階から製品化されるまでの間に改良等がなされることがあると思いますが、その場合は、時期的な縛りはありますが国内優先権主張出願を利用することや、別途、改良部分のみ特許出願するというような対応が必要になることはあります。

しかし、いずれにせよ、基本コンセプト等の情報は簡単に模倣される可能性がることを念頭に、模倣をされたくないのであれば特許出願を活用する道もある、ということは肝に銘じておく必要があります。

ひとたび情報が外に出てしまえば、それを回収することは不可能ですので。

今知的財産事務所

柔軟なモノの見方に触れてみる

 
あるモノが存在するときに、それを見る人の「見方」によって、そのモノが人それぞれで異なることがあります。

例えば、「ペン」が目の前にある時、多くの人は「筆記用具」として通常は捉えます。

しかし、人によっては、「差し棒」として使ったり、痒い所を掻くための「孫の手」として使ったり、ペン回しをするための「玩具」として使ったり、あるいは誰かからのプレゼントされた「宝物」であったり、物騒な観点からは人を傷つける「武器」である、と捉えることもできます。

このように、人によってとらえ方は千差万別ですが、この人それぞれによって違うという観点がコンセプトを考えるときに重要になります。

実際にある技術が目の前にあり、それをどう活用するか?を考える際、技術者の視点からは、ついつい「より機能を高性能にしよう」とか「他の機能も付けたそう」というような方向で考えがちです。

しかし、実際に利用する立場からは「そんなに高性能でなくても」とか「ちょっと機能が多すぎてわからない」というような状況になることもあります。

技術開発する際にコンセプト創造はつきものですが、ある偏ったものの見方だけでは、世の中を驚かせるようなコンセプトを創ることはできず、その結果、多くの人が手に取ってくれるような商品なりサービスが生まれにくくなることがあります。

かくいう私も理系的発想や論理的思考ゴリゴリの世界に浸かってきているのですが、より柔軟なモノの見方に触れるため、コピーライター養成講座なるものに通い始めてみました。

これまで触れてきた人たちとはかなり異なる思考の講義やワークがあり、かなり戸惑っています…

少しは柔らかアタマになるでしょうか。。。

今知的財産事務所

体験の蓄積

 
主に中小企業、ベンチャー企業や中堅企業の現場担当者向けになると思いますが、弊所でのサービスは特許や商標に関わらず、初めから終わりまでの間に複数回のディスカッションを挟んで提供しています。

知的財産についてこれまで触れてこなかった場合や、少しは触れたことがあるものの、知的財産についてはよく分からない、という状況はベンチャーや中小企業(更にはスタートアップ企業)の人にとっては普通のことです。

そこで、例えば、そもそもこれからやろうとする事業においてどのようなところが課題なのかを含めていろいろな「話」をします。この段階では特許や商標が出るかは分からず、企業の現場担当者(場合によっては経営層の方)としてどのようなことが課題なのかを洗い出すにすぎません。

その上で、事業をこれから進めていく上で必要になる様々なことのうち、知財で対応可能なところを明らかにします。

そして、必要に応じて権利化に向けて動き出します。

権利化の道程では、まずは権利対象を浮き彫りにし、その後に実際に特許等を出願し、拒絶理由が来た場合はそれに対応し、権利化された後は具体的にどう使っていくのか等々、様々なフェーズが存在します。

その各フェーズにおいてディスカッション(要するに打合せ)をするのですが、この打合せは、実際に自社が出願した内容を元に行います。そうすると、具体的に知的財産について実感を持って体験ができるだけでなく、その場で弁理士にいろいろ疑問等を投げかけて解決することで知的財産についての体験が蓄積されていきます。

とはいえ、初めのうちは知財についてやはりまだよく分からない状況が続きますが、企業の現場担当者が弁理士とディスカッションすることで(言ってみれば、知財のグーグル君として使うことで)、徐々に知財の体験が蓄積され、知財について「何が分からず何が分かるのか」が分かるようになります。

そうすると、これまでと比べて知財について自分で考える余裕が出て来るだけでなく、自分でも対処できる内容も増えるので、事業に現場担当者としてより主体的に貢献できるようになります。

このように、出願前から出願時、出願中、出願後等々の様々なフェーズでの体験が弁理士とのディスカッションで蓄積していき、蓄積した体験を実際の業務に活かすことで、企業の現場担当者が当該企業において活躍する場が増えることにもつながります。

これが、弊所がお客様との打ち合わせを重視している1つの理由でもあります。

今知的財産事務所

自社にしかできない技術の特許は必要?

特許に関する訴訟のニュースがときどき報じられます。

特許権者は、自分たちの特許に関する技術を使っているのではないか?と思われる第三者がいると自らの事業の障害になるので、交渉や訴訟等においてその障害を除去しようとします。そのため、「訴訟」という手段をとることもあります。

ところで、自社が開発した技術(サービスを含みます)について特許権を必ず取得しなければならない、と思い込んでいませんか?

「特許権を取得しなければ他社に真似されても文句を言えない!」

確かにそうです。

しかし、極論を言えば、本当に自社『しか』できない技術であるならば特許権を取得する必要は『ありません』。

なぜなら『真似ができない』はずだからです。

特許出願すると出願から1年6カ月を経過した後にその技術は全世界に公開されてしまいます。そして、特許権の存続期間は原則として20年であり、20年経つと特許権は消滅してしまいます。20年経つと誰でもその技術を使えるようになってしまいます。

したがって、本当に自社『しか』できない技術であるならば特許出願するよりも秘密にしておく方が得な場合があります(ただし、営業秘密として適切に管理する手間暇はかかります。)。

例えばコカコーラのレシピや、部外者が絶対に立ち入らない自社工場の奥だけで秘密に使用する装置や製造方法のように。

しかし、技術が絶対に第三者にばれない例はなかなかありません。ノウハウもそのノウハウを身に付けた人が退職した場合、完全に秘密にできるのか?というと難しい場合もあります。

そのため、通常は自社開発した技術に関し、特許権を取得することが多いでしょう。

製品を買ってきて分解するようなリバースエンジニアリングにより技術内容が分かってしまうような場合も、特許権の取得はやはり必要になってきます。

特許権を取得すれば、第三者に真似された場合に「やめろ!」と言えますし、粗悪な模倣品が市場に出回ることによる自社製品の信用棄損も抑えること等ができるからです。

しかし、それよりも有効な戦術の1つとしては、他社が自社製品を迂回して開発するであろう技術について権利を取得することがあります。

技術者はついつい目の前の自分の技術にだけ注目しがちですが、競合が自分たちに追いつかないように迂回技術をおさえておくことも重要です。

効果的に迂回技術を抑えておけば、競合他社が追いつく間に自社は更にその一歩先に進むことができ、結果として市場における優位性を確保し続けやすくなります。

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プロフィール

【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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