知的財産の効果

 
知的財産って、どう役に立つのか?
知的財産が重要といっても、やはりこの点に納得のいくことがなければ足を踏み出すことはなかなかできません。

例えば、特許権を取得した場合の効果には様々なものがあります。
ただし、特許権を取得しただけでは権利がある状態というだけで、実際は、ビジネスにどう活用するのかを考えて使うことで初めて「効果」が出てきます。

特許権に限らず、知的財産の一般的な使い方としては私の以下のコラムをご参照ください。
日経喝力コラム:「第3回 社外に対する知的財産の様々な効能~「権利」の効果的な使い方~
日経喝力コラム:「第4回 社内に対する知的財産の様々な効能~「権利行使」だけではない!知的財産の得する効果~

上記コラムに記載したこと以外に何か効果はないか?というと、特にベンチャー企業や中小企業にとって重要な効果があります。

それは、株価に影響する(良くも悪くも)、ということです。

例えば、「ベンチャー 株価 特許」というキーワードでニュース検索すると、特許権を取得したことで株価に大きな影響を与えるニュースがいろいろと出てきます。

「世の中に今までなかった技術を特許権に仕立て上げ、ある企業が持ちました。そして、これからその技術を活用していきます」ということなので、経営資源に限りあるベンチャーや中小企業にとっては株価を押し上げる1つの要素になり得ます。

ただ、特許を1件取得しました、として一時的に株価が上がったとしても、応用技術について継続的に特許を出していかなければ、徐々に株価に与える特許の影響は薄れてしまう場合がある点には注意が必要だと思います(医薬品など、1件の特許で市場を実質的に独占できるような場合は、1件の特許だけでも株価に良い影響を与え続ける場合もあります。)。

例えば、ある1つの発明についてPCT出願後に日本や米国に移行してそこで特許権を取得し、その後に同一発明について欧州等の他国に移行して特許を取得したとしても、基本的には同一発明についての特許なので、株価は必ずしも上がらない場合があります。

技術は継続的に進歩していくものなので、開発した技術をコツコツと見える化し、事業戦略上、権利化が必要なものについては権利化して蓄積していく、ということが特に規模の小さい企業にとっては大切なことではと思います。

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SDGsと知財


SDGsをご存知でしょうか?

SDGsは「持続可能な開発目標」のことで、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)で残された貧困等の課題や、国際的に問題となっている気候変動、格差是正等を含んだ17の目標と169項目のターゲットが盛り込まれた国際目標のことです。

とあるところから「SDGs×知財×α」というような感じで検討してみない?とのお話をいただいたので、色々と検討しているところです。

それはそれとして、SDGsの目標やターゲットは、普通の企業、もちろん、中小企業やベンチャー企業にとってもとても有用です。

何が有用かというと、例えば、何らかの技術を持っている(or開発した)けど、その適用先がなかなか思いつかない、といったような場合に、SDGsの目標やターゲットを眺めてみると、意外にも多くの適用先が見つかる場合があると思います。

17の目標と169項目のターゲットはネット検索すれば様々なところで紹介されていますが、例えば、ユニセフのHPにも紹介されています(2018/5/22検索)。

例えば、「目標6.すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」の中に、「6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。」という項目があります。

東京都は世界でも類を見ない水処理技術を有しているのでその技術を活かして上記目標に貢献できると思いますし、水回りの技術に携わっている企業も、自分たちの技術を使って上記目標に貢献するにはどうしたらよいか?と視点を世界に移せば、飲料水に困っている人々の助けになると共に、自社技術のプレゼンスも世界的に向上する可能性があります。

MDGsはトップダウン的な目標決定だったのですが、SDGsは『3年の年月をかけて途上国、先進国を含むあらゆるステークホルダーの議論を踏まえて策定されたもの』であり、民間の意見を取り入れて作られたものなので、『企業を意識した内容が色濃く反映されてい』ます※1。

つまり、民間のことを念頭においてSDGsは策定されており、民間企業との親和性も高いのではないかと思います。

そのため、企業にとってSDGsは、ビジネスにおける機会としてどのようなものがあり、新規市場を切り拓く可能性を示唆してくれるものとも言えますし、目標やターゲットを眺めて検討するだけでも、「このような課題があるのか。自社技術をこうして使えば解決できるかもしれない。」というようなアイデアが浮かぶかもしれません。

そして、「ビジネス」や「新規市場の開拓」、「ビジネスにおける機会」とくれば、当然、知財も関わってきますので、弁理士も力を発揮できるかもしれません。

文科省等からSDGsのアクションプログラムが発表されていますので、日本でもこれから議論がどんどん活発になるのではないでしょうか。

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※1 以下の文献から引用させていただきました。
足達英一郎、村上芽、橋爪麻紀子著、「ビジネスパーソンのためのSDGsの教科書」、日経BP社(2018年)、12-15頁

技術コンセプトを外に出すときには要注意


何らかの製品・サービスを世の中に出そうとする場合、まだ製品は完成していないものの基本コンセプトは既にあって、どうやってカタチにしていくかを考えることや、モックアップを作ったのでそこからプロトタイプ、製品へとつなげていこうと考えること等があると思います。

特に中小・ベンチャー企業では、アイデアがありモックアップやプロトタイプレベルまでは何とか自力でできるものの、製品化する際には自力では無理なので外の企業と協業したい、と思うことがあると思います。

しかし、基本コンセプト等に関して何も手当をせずに外の企業に接触することにはリスクがあります。

知財は基本的に無体財産であり、例えば、特許の対象である発明は技術的アイデアという「情報」です。「情報」は自分の頭の中にとどめておけば独占できますが、ひとたび話してしまうと、何も手を打っておかなければ、もはや独占できません。

そこで、技術的アイデアが含まれるコンセプト等を元に外部企業と接触する場合、事前に特許出願をし、第三者に自分たちのアイデアを盗まれないようにすることがリスク管理の一つになります。

もし特許出願せずに外部企業と接触すると、最悪の場合、「そのアイデアは大したことないですね」といって追い返された後、気が付いた時にはその企業にそのアイデアや改良したアイデアについて特許出願されてしまっていた、ということも起きないとも限りません。

もちろん、基本コンセプトやモックアップ、プロトタイプの段階から製品化されるまでの間に改良等がなされることがあると思いますが、その場合は、時期的な縛りはありますが国内優先権主張出願を利用することや、別途、改良部分のみ特許出願するというような対応が必要になることはあります。

しかし、いずれにせよ、基本コンセプト等の情報は簡単に模倣される可能性がることを念頭に、模倣をされたくないのであれば特許出願を活用する道もある、ということは肝に銘じておく必要があります。

ひとたび情報が外に出てしまえば、それを回収することは不可能ですので。

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柔軟なモノの見方に触れてみる

 
あるモノが存在するときに、それを見る人の「見方」によって、そのモノが人それぞれで異なることがあります。

例えば、「ペン」が目の前にある時、多くの人は「筆記用具」として通常は捉えます。

しかし、人によっては、「差し棒」として使ったり、痒い所を掻くための「孫の手」として使ったり、ペン回しをするための「玩具」として使ったり、あるいは誰かからのプレゼントされた「宝物」であったり、物騒な観点からは人を傷つける「武器」である、と捉えることもできます。

このように、人によってとらえ方は千差万別ですが、この人それぞれによって違うという観点がコンセプトを考えるときに重要になります。

実際にある技術が目の前にあり、それをどう活用するか?を考える際、技術者の視点からは、ついつい「より機能を高性能にしよう」とか「他の機能も付けたそう」というような方向で考えがちです。

しかし、実際に利用する立場からは「そんなに高性能でなくても」とか「ちょっと機能が多すぎてわからない」というような状況になることもあります。

技術開発する際にコンセプト創造はつきものですが、ある偏ったものの見方だけでは、世の中を驚かせるようなコンセプトを創ることはできず、その結果、多くの人が手に取ってくれるような商品なりサービスが生まれにくくなることがあります。

かくいう私も理系的発想や論理的思考ゴリゴリの世界に浸かってきているのですが、より柔軟なモノの見方に触れるため、コピーライター養成講座なるものに通い始めてみました。

これまで触れてきた人たちとはかなり異なる思考の講義やワークがあり、かなり戸惑っています…

少しは柔らかアタマになるでしょうか。。。

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体験の蓄積

 
主に中小企業、ベンチャー企業や中堅企業の現場担当者向けになると思いますが、弊所でのサービスは特許や商標に関わらず、初めから終わりまでの間に複数回のディスカッションを挟んで提供しています。

知的財産についてこれまで触れてこなかった場合や、少しは触れたことがあるものの、知的財産についてはよく分からない、という状況はベンチャーや中小企業(更にはスタートアップ企業)の人にとっては普通のことです。

そこで、例えば、そもそもこれからやろうとする事業においてどのようなところが課題なのかを含めていろいろな「話」をします。この段階では特許や商標が出るかは分からず、企業の現場担当者(場合によっては経営層の方)としてどのようなことが課題なのかを洗い出すにすぎません。

その上で、事業をこれから進めていく上で必要になる様々なことのうち、知財で対応可能なところを明らかにします。

そして、必要に応じて権利化に向けて動き出します。

権利化の道程では、まずは権利対象を浮き彫りにし、その後に実際に特許等を出願し、拒絶理由が来た場合はそれに対応し、権利化された後は具体的にどう使っていくのか等々、様々なフェーズが存在します。

その各フェーズにおいてディスカッション(要するに打合せ)をするのですが、この打合せは、実際に自社が出願した内容を元に行います。そうすると、具体的に知的財産について実感を持って体験ができるだけでなく、その場で弁理士にいろいろ疑問等を投げかけて解決することで知的財産についての体験が蓄積されていきます。

とはいえ、初めのうちは知財についてやはりまだよく分からない状況が続きますが、企業の現場担当者が弁理士とディスカッションすることで(言ってみれば、知財のグーグル君として使うことで)、徐々に知財の体験が蓄積され、知財について「何が分からず何が分かるのか」が分かるようになります。

そうすると、これまでと比べて知財について自分で考える余裕が出て来るだけでなく、自分でも対処できる内容も増えるので、事業に現場担当者としてより主体的に貢献できるようになります。

このように、出願前から出願時、出願中、出願後等々の様々なフェーズでの体験が弁理士とのディスカッションで蓄積していき、蓄積した体験を実際の業務に活かすことで、企業の現場担当者が当該企業において活躍する場が増えることにもつながります。

これが、弊所がお客様との打ち合わせを重視している1つの理由でもあります。

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プロフィール

【弁理士】今 智司

Author:【弁理士】今 智司
今(こん)知的財産事務所の所長ブログです。2011年1月に独立開業しました。知財はビジネスに役立たせてこそだ!と考え、技術、デザイン、ブランドの知財複合戦略を考えています。

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